子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

''豊島作文の会 2月例会の報告''

豊島作文の会 2月例会の報告

*2月5日は、私が提案をして、友人の工藤さんが、まとめを作ってくれたのだ
が、まとめの報告ができあがって送られてきたので、そのまま掲載をする。

工藤さん、まとめ、お疲れ様!


まとめは、ここから
         

第455回 2月例会(2月5日)報告       2011年 2月20日

参加:伊藤、片桐、榎本(豊)、工藤、鈴木、榎本(典)、酒井

《提案》
『卒業文集に関わって…堤小での4年間の取り組み』

                      提案者 榎本  豊さん (墨田区立堤小学校


Ⅰ.初めに~卒業文集に関わって…堤小4年間の取り組み
 堤小では、5年間勤めてきた。初めて堤小学校へ行った年は、少人数の算数
を担当、その後3年間、少人数担当を続けてきた。
 卒業文集には、行った年は直接には関わらなかったが、2年目からは、ずっ
と6年生の担任と一緒に取り組みを続けてきた。

Ⅱ.卒業文集をどう書かせていったか
1. 夏休みの終わった去年の9月(2010年の9月)から指導に入った。

2.題材指導…12年間の生活を振り返って、特に自分とのかかわりの強かったこ
との中から選ぶということで、たとえば次のようなものがあることを紹介し、
卒業文集に何を、どのように書けばよいのかを、2時間ほど使って学習した。

①お世話になった人とのこと(友だち・家族・先生・知り合いの人など)

②小学校入学以前の思い出(幼稚園・保育園時代のできごとなど)

③小学校入学から今までの暮らしの中で、心の中に強く残っていること。
(低学年時代 中学年時代 高学年時代)

④学校生活の中での行事の中から(運動会 展覧会 遠足 水泳 学芸会 
移動教室 社会科見学 連合音楽会 オーケストラ教室)

⑤誕生から今までの生活の中で、一番関わりの深いこと(ぜんそくで苦しんだ
走ることに燃えた 楽しい我が家 少年野球に熱中 サッカーとぼく 本を
読む楽しさ ぼくの親友A君 )

⑥お世話になった先生(6年間でお世話になったK先生 歌を歌う楽しさを
教えてくれたE先生 ぼくの心を変えたS先生)

3.表現意欲を高めるための指導として、緑小や堤小の卒業生が書いてきた作品
を参考作品として読み合っていった。参考作品を読みながら、題材選びに取り
組ませる。9月~10月の2ヶ月。

4.《読みあった作品》

①『フィリピンでの生活』

②『父は』

③『堤小学校に転入してきて良かった』

④『養護施設に、行くことになったこと』

⑤『三年、六年の担任の宮坂先生』

⑥『外国から来た友達』

⑦『三人の担任の先生』

⑧『アトピー性皮膚炎の辛さ』

⑨『あこがれの将来と自分の病気』

⑩『つらい母の病気』

⑪『養護施設にいた日』

*上の11作品も、資料として持ってきてもらいました。11の作品の中には、身
につまされるような重たい内容のものも。いずれにしても、どれも、読み応
えのあるいい作品で、榎本さんが、長い時間をかけてつくりあげてきた財産と
いっていい、そんな作品ばかりでした。

*ふつう、11作品などね、そんなにたくさんの作品を読み合うことなんてない
ので、「これら11作品、全部を読み合ったのですか」と確認したところ、
「いや、それ以外にも読んだね」
とのことでした!

5.上のような作品を読み合いながら、

1) 書く枚数は、400字詰原稿用紙に4枚程度だといいものができること(使用
する文字の大きさによって枚数を5~6枚に増やしたり、3枚半ぐらいに減らし
たりすることも可能なこと)

2)文章の中に、「小見出し」を入れていくと、文が書きやすく、読みやすくな
ること

3)題名は、読みたくなるような題にすること

など、記述面での指導も実施。

6.このような学習を続けながら、自分は何を(題材)書くのか、考えさせてい
った。題材は、1つだけでなく、2つないし3つくらい考えさせた。その上で、

①なぜそれを書きたいのか、理由も書いていかせた。

②題材がいくつか決まってきたら、書きたい順に印(一番書きたいもの、2番
目、3番目等)を付けておく。

*榎本さんの説明によれば、最終的には、作品が一応完成して、パソコンで打
ち終わった段階で、1対1で対応、子どもと二人で読み合って、文章に不足は
ないか等、確かめていったとのことです。これも、すごいことですね!

Ⅲ.卒業文集36人分の完成
9月、10月の2ヶ月で、以上のような表現意欲喚起、題材指導、記述指導の後、
11月に、36人分の作文集が完成。

*榎本さんには、その36人分の作品をマス刷りしたものを資料として持ってき
てもらいました。これは、みんなで読み合い、推考などにも使ったものだそう
です。

*これらの作品は、本来でしたら、私たちは、読む機会をもてないものです。
それが、全作品を、「研究のために」読むことができるのですから、うれし
くなってしまいます。そして、これがまた、読み応えあり!

*今回のレジュメと作品集(36人分)はいくつか残っているみたいですので、
欲しい方は榎本さんに電話して交渉を!

*製本された完成品は、卒業の三日前ほどにできあがってくるそうです。普通
だとみんなで読み合うなどできずに終わってしまうことが多い中、推考用のも
ので読み合うことができるのって、いいですよね。

Ⅳ.話し合い
(1)参考作品として読み合った11の作品がすごい。こういうのは榎本さんの財
産だね。

(2)6年生担任の斉藤先生が大変魅力的。子どもの作品を通しても、斉藤先生の
すてきな姿勢が伝わってくる。

(3)担任でも、子どもたちの心の奥にあるものを引き出していくというのは、
とてもむずかしい。ここまで、子どもたちに書かせきるというのはすごいこと
だと思う。

(4)人権作文集会のような、すぐれた土壌があることが、子どもたちを大きく
育てているということなのかな。

(5)先生に1対1で話をしてもらっているというのはすごい。

(6)人権集会に興味がある。すごい内容の作文が出てくることが驚きだ。

(7)こういうものは、本気でやらないとダメだね。おざなりな取り組みだと、
「友だちとなかよくしましょう」とか「いじめをないようにしましょう」み
たいな、抽象的なものになってしまって、意味がない。堤小のは本物だね。

(8)すさまじい、いじめの内容の文章が今度の、2月の人権集会で出てくるんだ
けど、さすがにいじめる側の子は、A君、Bくんにしたね。

(9)そういうふうに、A君、B君にしたにしても、そういうものを出していくわ
け?

(10)保護者や管理職からクレームがつくということはない?

(11)子どもたちは、いじめなどに関してかくしておくみたいな雰囲気はないわ
け?

(12)先生たちが、かくさないで、子どもたちの前でどんどんやっていくからね。

(13)つまり、そういう中で、かくさずに出していってもいいんだっていう雰囲
気があるわけね。

(14)そういうこと。じめじめしてない。強烈なんだよね。

(15)2月の人権集会で、5年生のものなんだけど、ひきこもりに関連して、いじ
めの作文が読まれることになっている。問題の起きた次の日には、作文の授業
で取り上げようということになって、取り組みを始めた。

(16)いろいろな問題が山済み。すごい地域なんだ。

(17)最初は、子どもたちの様子、学校の雰囲気にびっくりしてしまった。
でも、複雑な事情をかかえた子どもたちがいっぱいなんだなということが分か
ってきた。つきあい始めると、無邪気で、根はいい子ばかり。少しずつだけど、
来て良かったかなと。

(18)堤小の先生方はみんなすごいですよ。悪口を言わない。評論家的な物言い
などせずに、行動を起こしていく。電話をかけ、場合によっては子どもを迎え
に行く。

(19)いろいろな意味で、特色のある堤小学校。学校統合で、4月からは大きな
道路を渡らなきゃならなくなるのだけど、子どもたちが新しい学校に入ってい
った時、どんなふうに遇されるのかな。うん、すごく心配。

*話はまだまだ続くのですが、そろそろこの辺で!

*榎本さんのホームページ、『えのさんの綴方日記』http://www.yunochika.net/
については、前にも一度紹介しましたが、このホームページの「高学年の作品」
のところに、「卒業文集」の記事と作品が載っています。また、「人権作文
集会」という項目もありますので、興味のある方、どうぞ。   (文責:工藤)
                                                   
 

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