子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

はじける芽

はじける芽

柳島小学校時代1号~53号

 いつかはこのように合本にしようと考えていた。印刷屋にお願いして、もっとりっぱなものにしたかったが、それは断念した。プライバシーがやかましく言われ、それが世に少しは広がったときに、載っている誰かに「承諾なしに」などとクレームがつくことが気になった。十九年間の中で、ここに載せた子どもたち全員に連絡をつけることは不可能であった。もちろんここに載せるときには、内容によっては本人と家の人に必ず連絡をつけてきた。特に問題と感じなかった作品は、連絡をせず載せたあとに、クラスで印刷をしてみんなで読み合った。載った子どもたちは、うれしそうにして、次の日には親から感謝のお手紙が届いたりしたこともあった。

 子どもたちにとっては、クラスの一枚文集に載ることもうれしかったが、「はじける芽」に載ることは、もっと名誉と感じるようになってきた。子どもたちの文章表現力も、確実に伸びていくのが手に取るようにわかってきた。このようにして、はじける芽は、子どもたちとその応援団である家の人たちとをつなげる大切な武器になってきた。

 作文の時間が大切にされていたときは、月に一度は「指導題目」をたてて、子どもたちに書かせたい作品を指導したりすることもあった。そのような指導をした作品の中で、優れた作品が「はじける芽」に載ることが、子どもたちにも自然にわかり、ますます子どもたちも力が入った。

 月に一度作品を載せるのだが、その作品を分析するのにも時間をかけた。三段法と言って、上段は、「生活のしぶり」下段は、「文章の書きぶり」のそれぞれ良いところ、優れた表現をていねいに分析する。これは、一文一文をていねいに見る私自身のものの見方・考え方を深めてくれた。このやり方も、国分さんの提唱された考えであった。

 このように「はじける芽」というコーナーを担当するきっかけは、墨田教組の内田宣人元委員長が、退職をし、その紙面の一部を埋めるために執行部から頼まれたものであった。これは良い機会を提供してくださったと、内心大変だと感じながらも何とかやってみようとはじめた。「はじける芽」という名前は、「日本のはじける芽」(国分一太郎著・国土社)の本を読んで、優れた作品を詳しく分析する国分一太郎さんにあこがれて、勝手にお借りしてつけた。生活者である子どもの目と心と言うことを重視し、自然や人間や社会のことをとらえさせて詩を書かせる。日本中のいたるところではじけた詩の中に見られる可能性を、引き出されている本であった。

 その本に出会う前に、国分一太郎さんの「新しい綴り方教室」(新評論)を読んで、私の教師への道をはっきり示してくれる本に出会った。その後「君人の子の師であれば」「実践綴り方ノートⅡ」などを読み、そのするどい文章に対する分析などに、すっかり魅せられてしまったのである。また、教師になったら、必ず子どもたちやその親たちとどう連帯していくのかと言うことも、それらの本から学んだ。

 豊島区立池袋第三小・墨田区立小梅小・墨田区立柳島小・墨田区立立花小・墨田区立緑小・墨田区立堤小と四十二年間過ごしてきた。どこでも、子どもたちにたくさんの宝物をいただき、その親や祖父母の方々からも応援をされてここまで来られた。また各職場での多くの先輩や仲間の教師に支えられて、ここまで歩いてこられた。
 また、新卒二年目から立ち上げ、今でも続いている「豊島作文の会」の仲間のみなさん、国分先生がお元気であったときから続けてきた「綴方理論研究会」のみなさん、私に関わってくださった多くの方々に、心よりお礼を述べたい。

                  (2011年3月19日 東北関東大震災の一週間後の大変なときに)





 合本にして、100冊作った。その文集は、これまでにお世話になった方々にお配りした。また、理論研究会でも提案させていただいた。田中定幸さん(国分一太郎「教育」と「文学」研究会会長)からは、少し分類して、本としてまとめたらどうかという推薦もいただいた。まずは、このホームページに作品中心で、載せていく予定である。

 スキャナーを撮り、それを取り込んで作成している。慣れてないので、1号作るのに、1時間近くかかる。せっかくここに載せるので、この作品に関わるコメントも入れながら、作っていくことにする。

                                                 2011.11月吉日



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