子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

作品10.教室はまちがうところだ

作品10.教室はまちがうところだ

教室はまちがうところだ

教室はまちがうところだ
みんなどしどし手をあげて
まちがった意見を言おうじゃないか
まちがった答えを言おうじゃないか
まちがったことを恐(おそ)れちゃいけない
まちがったものを嘲笑(わら)っちゃいけない

まちがった意見をまちがった答えを
ああじゃないか こうじゃないかと
みんなで出し合い 言い合う中で
ほんとの{真実}(しんじつ)ものを見付けていくのだ
そうしてみんなで伸びていくのだ

いつも正しくまちがいのない
答えをしなくちゃならんと思っているから
そういうとこだと思っているから
まちがうことが こわくてこわくて
手をあげないで 小さくなって
だまりこくって 時間がすぎる

しかたがないから先生だけが
かってにしゃべって生徒はうわのそら
それじゃあちっとも伸びてはいけない
神様でさえ まちがう世の中
ましてこれから 人間になろうとしている
ぼくらが まちがったって
なにがおかしい あたりまえじゃないか

うつむきうつむき
そっとあげた手 はじめてあげた手
先生がさした
どきりと 胸が大きくなって
どっきどっきと 体がもえて
立ったとたん 忘れてしまった
なんだか ぼそぼそ しゃべったけれど
何を言ったのか ちんぷんかんぷん
わたしは ことりと座ってしまった

体がすうっと涼しくなって
ああ言やあよかった
こう言やあよかった
あとで いいことうかんでくるのに
それでいいのだ いくどもいくども
体がすうっと涼しくなって
ああ言やあよかった
こう言やあよかった
あとで いいことうかんでくるのに
それでいいのだ いくどもいくども
おんなじことを くりかえすうちに
それから だんだん どきりがやんで
言いたいことが 言えてくるのだ

はじめからうまいことを
言えるはずないんだ
はじめから答えが当たるはずないんだ
なんどもなんども言っているうちに
まちがううちに
言いたいことの半分くらいは
どうやらこうやら言えてくるのだ

それから たまには答えもあたる
まちがいだらけのぼくらの教室
恐れちゃいけない
嘲笑(わら)っちゃいけない
安心して 手をあげろ
安心して まちがえや
まちがったって 嘲笑ったり
ばかにしたり 怒(おこ)ったり
そんなものはおりゃあせん

まちがったって 誰かがよう
なおしてくれるし 教えてくれる
困ったときには 先生が
ない知恵しぼって 教えるで
そんな教室作ろうやあ

それはへんだと言われたって
そりゃちがうといわれたって
そう思うんだからしょうがない

誰かが かりにも嘲笑ったら
そう思うんだから なにが悪い
まちがっていることわかればよう
人が言おうが言うまいが
おらあひとりであらためらあ
わからなけりゃそのかわり
だれが言おうと こずこうと
おらあ根性(こんじょう)まげねえだ
そんな教室作ろうやあ
蒔  田  晋 治 (静岡県 小学校教諭)

 僕が、学校の教師になった39年前にとなりのクラスの黒板にこの詩が書かれていた。良い事いっているなあと、えらく感動してしまった。この詩を、六年生に進級したみなさんと一緒に鑑賞して、今年度のスタートを切りたい。よろしく。

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