子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

作品14.春の詩を書かせよう

作品14.春の詩を書かせよう

春をさがそう

(1)春を見つけた 二年 わたなべ れな
土をさわってみた。
あったかかった。
はこベを見つけた。
どうろのわきでさいていた
少しだけさいていた。
こんなところにさいているんだなあ。
たんぽぽも見つけた。
花がなくて草だけだった。
いろんなところに
あるんだなあ。

(2)おおいぬのふぐり 2年 長沼 秀三
うちの近くにおおいぬのふぐりの花が
光ってさいていた。
かぜとおおいぬのふぐりが
おすもうをしている。
おおいぬのふぐり
今にもふきとばされそうだ。
冬と春が すもうをしているみたいだ。
おおいぬのふぐりがかてば 春。
かぜがかてば 冬。
どっちが かつかなあ。

(3)春は近い 2年 きゅうこ まゆみ
小さな木に 赤いつぼみ
こめつぶのように 小さいつぼみ。
あちこちに くっついている。
ベランダへ行った。
じんちょうげの木に つぼみがあった。
五こぐらいずつに かたまっている。
つぼみも さむいのかなあ。
赤より少しこい色。
はっぱと いっしょにある。
赤とみどりのもよう。
春に近いんだなあ。

(4)春  2年 はっとり りょう
草が土の上に はえていた。
その草は、ペンペン草という名前。
少し見ていたら
もう春なんだなあ
と思いました。
少しすると 目がちかちかした。
それはたいようが まぶしかったから。

(5)春のめ2年 山崎 あや子
春の目を見つめた。
たんぽぽのめだった。
たんぽぽんのめは、ふまれたように しおれていた。
れなちゃんに、
「コンクリートの間に よくさいているね。」
といった。
たんぽぽのめって いろんなところにさいて
生きているんだなあ。
以上 墨田区立小梅小学校 1984年
 この春、卒業していく小梅小の六年生が、二年生の時に書いた作品である。このような作品をあらかじめプリントして、春の季節感の学習を深めるのに役立つ。
○春というものを、どこで見つけて、その感動を、どういうふうに書いているか。
○みなさんも、同じようなことに心を動かされたことがあったか。それも、発表してもらうよ。 
(1)土にさわって、あたたかさを皮ふを通して感じている。この子は、春を三つ見つけているところがよい。どうろのわきの、人に気がつかない所に、はこベがさいているのを見つけている。花がさいてないたんぽぽに、目がいっている所もすばらしい。できたら、この二つの野草が、どんなふうにさいていたのか、葉の形・大きさ・色なども見えたとおり書けていると、もっといい書き方になった。
(2)おおいぬのふぐりは、寒い二月ごろから、日だまりにさく、青い小さい花びらをつける花。
 土の上をはうようにしてさく花だ。その春をつげる花を見つけた所がえらい。まだ寒い風が吹く頃なので、風とおおいぬのふぐりのすもうと考えた所が新鮮だ。
(3)名もない木に、つぼみが小さくついていることに、気がついた目。さらに体を動かしてじんちょうげのつぼみをていねいに観察している。
(4)ぺんぺん草(なずな)の発見。目がちかちかしてまぶしくなるのは、春になった証拠。「もう春なんだなあJというのを、終わりに書くか、カットしてもよい。「…と思う。」という表現は、詩では必要ない。
(5)コンクリートの間からめを出した生命力のあるタンポポに感動している。
自然の少なくなったみなさんの墨田区にも、こんなにたくさんの春が来ている。どうでしょうか。
1988年3月11日

物を大事にする話

 この子ども達を担任した後に、5年生の担任になった。その子ども達は、1・2年生で担任した子ども達であった。当時4クラスあったので、4分の1の子に巡り会えた。やがて、2年間担任し、小梅小の10年間を終えて、同じ区内の柳島小に転勤した。そこで担任したのが、5年生であったので、この詩を書いた子供達と同じ学年であった。そんな思いもあって、「はじける芽」が新聞に載っていれば、小梅小の子供達の目にもとまるだろうという期待を込めて、この詩を載せた。この子供達とは、物を大事にしようという話をした。長さの勉強をするときに、物差しを用意させたら、山崎あや子ちゃんは、お母さんが小学生の時に使った物差しを持ってきた。それは、物差しの裏に、お母さんの旧姓の名前が残っていたからである。感動してしまい、その物差しを持って、物を大事にする話をした。6年間、一度も筆箱を買い換えなかったら、ご褒美をあげるという約束をした。そしたら、山崎さんともう1人ぼろぼろの筆箱を使っていたと連絡を受けた。うれしくなって、川口の我が家に招待して、歓迎してあげた。ずいぶんたってから、もう1人いたんですと、連絡を受けた。その子には、連絡をせずに、悪いことしたなあと悔やんだ思い出がある。
2011.11.18

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