子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

卒業文集の参考作品その2

卒業文集の参考作品その2

六年生の友達 6年 女 子

 始業式の日から、私は六年生になりました。担任が発表され、六年生の担任は五年と同じ斉藤先生でした。校長先生の話が終わり、転入生が紹介されました。世田谷区から見えた、二年生の魚住天風勝くんと、魚住咲希愛さんでした。自己紹介をして、六年の列の一番後ろに並びました。

気のあった二人のちがい

 五年生が終わる頃、小平愛美さんが転入してきました。同じ転入生の関係か、小平さん魚住さんはとても気が合うように見えました。この堤小に転入してきて、イヤなところ、よいところ,すべての話があったのでしょう。一方、魚住さんは音楽の時間に蹴られたり、からかわれたりしていました。でも、わたしは助けてあげられず、黙っていました。魚住さんは、二・三回、作文にそのことや、イヤなところを書いていたようです。私は、
(前の学校とは、ずいぶん違うのかな。)
と思いました。私にとって普通のことが、魚住さんにとってはおかしなことだったのです。

少しずつ友達に・・・

 魚住さんと仲がよくなったのは、夏休みの前でした。自分なりに少し近づいたのは、代表委員の運動会の司会の時でした。そのときは、いつもおとなしい魚住さんが、あんなに大きな声を出してびっくりしました。休み時間に一緒に練習しながら、少しずつ仲良くなりました。
 夏休み開け、登校するとき、前に魚住さんが歩いていました。
(どうやって声をかけた方がいいのかな。)
と、わたしは迷いこんでしまって、考えこんでしまいました。すると、魚住さんはこっちに気がついたようにふり返って、
「大江さん、おはよう。」
と、あいさつしてくれました。「えみほ」ではなく、「大江さん」とい言っていたので、
(なまえで呼んでほしかったな、まだ覚えていないのかな。)
と思いましたが、そのときはとてもうれしかったです。それからわたしは魚住さんと前よりもっと多く話すようになって、友達になっていきました。

うらやましい魚住家

 わたしたちは三つ子です。わたしは五年生が終わる頃から、
(人に「三つ子だ、めずらしい」ってみられていないかな。)
と、思うようになり、人目を気にするようにました。それに対して、魚住さんは弟が三人。同じ四人でも、違いがあり、とてもうらやましく思いました。夏休みに、私と笑南は、学校で収穫した野菜を、魚住家に届けにいきました。インターホンを押したとたん、
「咲希愛ーっ」
というたかまさ君のさけび声が聞こえました。その後に、
「こらっ、たかまさっ、ちゃんと確かめてから言いなさい。」
という魚住さんのお母さんの声がしました。
(お母さん、苦労してるなー。)
と思いながらも、仲がいいなと、ちょっとうらやましかったです。わたしは三つ子として生まれたことを、少し後悔しました。

おちゃめで笑顔な友達

 図工の時間に農業のかかしを作ることになりました。私と魚住さんはペアで、一緒に作りました。私は、
(髪の毛は・・・茶色にしよう。)
と思っていたのに、魚住さんは、
「髪の毛は・・・青にしよう。」
と言いました。私は三秒固まってから「うそ?」と聞くと、首を横に振りました。「本気?」と聞くと「うん、本気」と答えました。私が固まっていると、魚住さんはくすくす笑って、その笑顔がとてもいたずらっぽく見えました。結局かみの毛は、茶色と青色の両方をぬりました。
 いつでも、魚住さんはよく笑いました。だれに会ってもいつでも笑顔でした。一番の笑顔になったのは、授業中に羽賀さんが、斉藤先生と漫才をしているときです。わたしが、魚住さんも席の方をみると、魚住さんは周りも人まで幸せな気持ちにしてくれるような、やさしい笑顔で笑っていました。          

少し気を使っていた友達

 魚住さんは転入してきたとき、いやなことをきっぱり断れなくて、みんなに少し気をつかっていました。私は時々、
(咲希愛ちゃん、みんなに少し気をつかっているのかな・・・)
と思うことがありました。
 その時から約半年、魚住さんは、ずいぶん変わりました。私が、
「音楽室、行こう。」
と言ったら、
「今日は、ちょっといやだ。」
ときちんと断れるようになりました。魚住さんは、前もよく笑いましたが、今は前よりも、もっと笑うようになりました。

大切な友達                    

 六年生になってから、もうずいぶん経ちました。魚住咲希愛さんとは、本当の友達になっています。六年生転入してきて仲良くなったのに、なぜか昔から親しかったような気がします。魚住さんは、私のことを友達だと思ってないのかもしれませんが、私にとって魚住咲希愛さんは大切な友達です。私を今まで支えてくれた家族、友達、先生方に「ありがとうございました。」と言いたいです。自然の中の小学校、堤小学校には、小学生六年間の思い出をたくさんもらいました。この大切な体験を心に残して卒業し、中学校生活で活かしていきたいです。

堤小との出会い  6年 女 子

ついに来てしまった通知

「えっ・・・当たった。」
 四年生の九月ごろに、家が狭い理由で十二年前から応ぼしていた、都営住宅が当たったという通知を母から渡されました。わたしはショックで、
(ウソでしょ。やだよ引っ越すなんて。)
とずっと考え込んでいました。さらに父と母に、
「四月には引っ越すかもしれない。」
と、さみしげに言われたので、その日はずっと泣き寝入りでした。生まれ育った大好きな池尻から離れるなんて、信じられませんでした。うそであってほしいと、そう願ってました。

初めて下見に来た日

「えっ、ここに住むの?」
わたしは鐘ヶ淵寄りの号棟周辺を見て、驚いてしまいました。人通りが少なくて、地上に電車が通っていたからです。前、住んでいた所では、地下鉄が当たり前に通っていました。父と母は、
「いいとこじゃない。うわぁ。」
と辺りを見回して、とても喜んでいましたが、天風勝(たかまさ)とわたしは微妙な顔をしていました。
(便利はいいかなぁ。子どもはいるのか分からないし・・・変な人にからまれたりして・・・。)
と不安で一杯でした。

世田谷区立池尻小との別れ

「さっちんガンバ!」「手紙書くからね。」「スカイツリー連れてけえ。」
とうとう最後の日が来てしまいました。その時友達がエールを送ってくれました。
「ありがとう・・・また遊びにくるから、みんな元気でね。」
 わたしは感動して涙が出てしまいました。先生や、仲のよかった友達とも一旦お別れです。絶対また会いに来れるから。最後の友達からの温かい言葉が胸にしみました。
(五年間ありがとう。池小。)

初めまして堤小

 わたしは、堤小のホームページを見て、
(感じが良さそうな学校だなあ)
と思い、校庭が広くて楽しそうだという理由で、堤小に転校することに決めました。
 堤小に初めてきて驚いたことは、校長室に案内されたときに飾ってあった絵です。見たときに、心を動かされて、
(すっごーい。この絵描いた人と話してみたい。)
と思いました。それに、迷路みたいにくねくねした広い校舎や、優しそうな子がいっぱいいたこと等、新しい発見ばかりで、
(何か楽しそうな学校だなあ。)
と、とてもわくわくしていました。

ショックを受ける

 最初の何日間に、授業中に立ち歩く子や、先生にタメ口の子、乱暴な子がいたのを見てショックを受けてしまいました。前の学校では、絶対あり得ない光景だったからです。わたしは
(やっぱ梅若の方が良かった気もする・・・。)
と複雑な気持ちでした。

友達関係のトラブル

「ウチが先に遊ぶ約束したんだよ。」
「はっ。意味分かんないウチの方が先だし。」(ある二人の対立している会話)
(もうヤダ。見てらんない・・・)(挟まれているわたしの気持ち)
 わたしは人に気を使ってしまい、思ったことをはっきりいえないところがあったためか、転入早々、友達関係のトラブルに巻き込まれてしまいました。毎日二人の子に振り回されてしまう学校生活は、正直辛かったです。
(女子同士の対立なんて考えられない・・・どうしてこんなに上手くいかないの。)
 その事を見ていた斉藤先生に、理科の授業の始めに呼び出されました。斉藤先生がわたしをはげますように、
「今まで辛かったでしょう。ウチのクラスはうるさいし、乱暴だし、優しくないし・・・(中略)参るよなあ。」
と、わたしの言いたかったことを全て言ってくれたので、よほど辛かったせいか、泣き出してしまいました。その後、斉藤先生は、声の調子を変えて、
「でも、みんないい子だし、前の学校とは比較しないでほしいの。比べられると、担任としてもやっぱり悲しいわ。」
と言っていたので、わたしは、
(そういえば、前の学校と正反対だからって、いつも比較してばっかりだった気がする。)
と少し反省しました。斉藤先生は、その二人にしばらくわたしをそっとしておいてくれるように言ってくれたので、わたしは心がすっきりしました。友達も色々と優しかったし、とても心強かったです。

最初とは違った友達の見方

 最初はショックを受けたあまり、特に男子とは仲良くしたくないと、自分から心を閉ざしていました。
 しかし、堤小に慣れてきて、子供らしい素直な子が一杯いることに気付きました。先生とも家族みたいで、とてもいいクラスです。確かに友達関係は難しいように思えるけど、先生もクラスのみんなも優しくて面白いし、毎日すごく楽しいです。わたしはこんなにいい小学校に転入してきて良かったです。あと半年で閉校してしまうけど、友達を大切にして、楽しい思い出を一杯作って卒業したいです。

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