子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

夢をありがとう

夢をありがとう

六年前、夢をふくらませて、意気揚々として、
この立花小学校の門をくぐった人がいた。
本当は、もっと大きな夢を持って勤めるはずだったが、
その夢は、正式採用が決まったあとに、もろくも崩れ去ってしまった。
学級担任ではなく、音楽専科としての道だった。
そのくやしい思いを持ちながら、とりあえず専科の椅子についた。
苦節十年以上の「正式採用」の教師への大きな夢を持ち続けて、
あなたは、何度も挑戦してきたのだった。
そのくやしい思いが、何度か噴火する場面があった。
僕らは、その気持ちを何とかしなくてはと思いながら、
何年もが過ぎ去ってし まった。
今考えてみると、教員採用がもっとも難しい時期での挑戦だった。
そのような状態の中でも、
あなたの子どもへの愛情は、すてきだった。
音楽教育も徹底していた。
それ以上に、子どもに接する態度は、いつも真剣であった。
はじめて私の担任していた五年生との関わり方は、
こちらが目を見張るほど、
子どもたちの接し方が、きめ細かであった。
子どもらの心をつかむやり方が、愛情細やかであった。
したがって、あなたを見る子供らの目は、
正直であった。
この六年間の間に、一番世話になったのは、
この私であったかもしれない。
いつも副担任のように、
私のクラスのこどもたちとウマが合っていた。
今年高校生になった子供らとの二年間は、
私にとっても忘れられないものになった。
担任以上に子供らと友だちのように振る舞った。
時には、こちらが嫉妬したくなるくらいだった。
あの移動教室でのキャンプファイヤーの思い出は、
本当に感動してしまった。
「ありがとうの集い」で演じたサンバのリズムは、
今でも思い出すとゾクゾクするくらいだ。
そのあとの五・六年生とのつながりも密だった。
「夢から醒めた夢」は、私の学芸会の中でも、
ベストスリーに入るであろう。
脚本から、演技指導まで、
すべて気持ちよく担当してくださった。
他の人から妬まれるくらい、深く我がクラスに入り込んでくれた。
今年の四年生も、昨年一年間やはり世話になってしまった。
何か問題が起こりそうになると、すぐに連絡してくれた。
おかげで、子供らのつながりも、うまく流れていった。
あれからもう六年が過ぎてしまった。
今年の一年が、
あなたの新たな一歩である。
転勤した最初は、あまり張り切らず、
少しずつ小出しにしていった方がいい。
子供らのあなたを見る見方が、好奇心でいっぱいだからだ。
どちらかというと、厳しい見方をする子が多い。
あまりバシバシやっていくと、
どこかで息切れしてしまうかもしれない。
どうぞ、最初はのんびりとやっていただきたい。
やがてあなたの自然体に、
子どもたちはすぐに伝わっていくだろう。
落ち着いたら、「作文教育」をやっていただきたい。
それはあなたがやってこられた「人間教育」だからだ。
どうぞ、元気で、気張らず、したたかに歩いていってほしい。
2003年 4月25日(金) 離任式の日に

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional