子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

2月13日(土) 山田享二郎さんの奥様へ

2月13日(土) 山田享二郎さんの奥様へ

山田 浩子様へ

 亨二郎さんのご逝去を悼み、ご冥福をお祈り申し上げます。訃報に接して、亨二郎さんとの思い出がいろいろうかんできました。

山田亨二郎さんのご逝去を悼む

 この事実を伝えてくれたのは、研究会仲間の田中定幸さんからだった。田中さんは、山形の村田民雄さんから連絡を受けたと言うことだった。
 山田亨二郎さんは、私たち国分一太郎「教育」と「文学」研究会のメンバーにとっては、ひとかたならぬお世話をいつもしていただいた。特に国分先生を偲ぶ「こぶし忌」の会を引き継ぎ、毎年東根で研究会を開催している国分一太郎「教育」と「文学」研究会の会長の田中定幸さんと事務局長の榎本豊にとっては、ほんとうにお世話になった。 
 国分さんが亡くなった後に、東根市の教育委員会が国分家に直接出向き、残された国分さんの著作資料をすべて管理するという約束で、山形の東根市の方に持ってこられた。その資料の整理を、東根市の教育委員会にお願いされたのが山田亨二郎さんであった。
 最初資料収集室を国分さんの母校の東根小学校の一教室を確保され、そこで非常勤職員として、週何回か出勤しお仕事をされた。
 それこそ、国分さんが関わった日本作文の会関係の本(「作文と教育」)や新日本文学関係の本や、国分さんが編集に関わったものなど、すべて運んでそこに置かれていた。その写真やいくつかの宝物の一部は、現在も「東の杜」に展示されている。
 ある時、田中さんと私の2人で、研究会の打ち合わせために山形の東根まで行き1泊したことがあった。その時、ご自分が仕事をされていた部屋を案内してくれた。国分さんの膨大な資料を整理していた部屋である。そこには、たくさんの国分さんの書籍や、資料、ファイルに収められたものなどが、分類、整理されていた。資料収蔵室は、何回か引っ越している。その都度膨大な資料を移すのに大変だったことだろう。病で倒れるまでの17年間、そこでお仕事をずっとされていた。
 何度かそこを訪れたのだが、亨二郎さんに、「榎本さん、国分さんが仲人をしたときの榎本さんの写真が、結構あったよ。」とニコニコしながら教えていただいた。そのくらい、ほとんどの物を国分さんの実家から持ってきたと言うことを、その時知った。
 あるときは、亡くなった寒河江文雄さんの車に乗って、私たち二人のために市内巡りをしてくれた。松尾芭蕉の「しずかさや岩にしみ入るせみのこえ」で有名な立石寺を案内してくれた。またそば好きだった田中さんのためにめったに行かれない山奥の「七兵衛そば」まで連れて行ってくれた。「ここのそばは、辛み大根のつゆがうまいんだ。」と食べ方まで教えてくれて、亨二郎さんもうまそうにそばをほうばった。何杯でもおかわり自由な店が特徴らしいが、あいにくその日は朝食をたくさん食べてきてしまったので、おかわりは出来なかった。その点、そば好きの田中さんは、うまそうにおかわりしていた。思い出すと、次から次と、親切にお付き合いしてくれた亨二郎さんの顔を思い出す。
 また、研究会を開く一ヶ月前から、事務局をしていた私の家まで電話連絡してくれて、「青松館の車を、さくらんぼ東根駅に、何時にくるように連絡しましたか。」「弁当のお願いは、何個用意しますか。」等と、細かいことまで確認してくれた。前日の交流会があると、席順や自己紹介の進行のことまで、細かく教えて下さった。
酒をこよなくおいしそうに飲む人でもあった。相当に飲んだのに、次の日の本番の朝は、けろっとして青松館へ顔を出すのであった。
 小学校から同級生だった奥山昭男さんをいつも大切にして、交流会のときの地元代表のあいさつは、必ず奥山さんをお願いしてくれていた。地元の人達にもたくさんの気を遣われて、この会を盛り上げて下さった。
 長いこと、国分さんをこよなく愛し、村田さんと一緒に研究会をささえてきてくれた人が、また一人亡くなってしまわれた。
 昨年は、コロナさわぎで会が中止になってしまった。もう一度お見舞いに行こうとみんなで話していたのだが、それは叶わなかった。田中さんがまとめた、『国分一太郎童謡集』は、手に取ってご覧になっただろうか。きっと田中さんは、「亨二郎さんのおかげで、やっと本ができましたよ。」と報告したかったにちがいない。
 山田亨二郎さん、どうぞ安らかにお眠り下さい。長いこと、本当にお世話になりました。
2021年 2月15日
国分一太郎「教育」と「文学」研究会
事務局長 榎本 豊

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