子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

33号

はじける芽33号

今回の指導要領改訂で、この4月から「作文の時間」が明示され、「表現の重視」がよりはっきりしてきた。小学校第1学年から4学年までに105時間程度、第5学年と第6学年に70時間程度の配当となった。週当たりで計算すると、1~4年が3時間、高学年が二時間、作文の時聞がとれるということだ。
 では現実に作文という時間を時間割の中にしっかり確保して、「ひとまとまりの生き生きとした文章」をすべての子に保障しているかという事になると、否ではないだろうか。
 戦前の軍国主義・国家主義教育が徹底した時代、修身・国史を筆頭に教科書でその思想は貫撤された。そんな時代に一教科だけは教科書もなく自由に教師の自主編成ができたものが、綴り方科(作文)であった。そこで心ある教師は、現実の生活の中でくらしている中から、強く残った出来事をありのままに綴らせる事を大事にした。
 貧しい東北の農村地域で生活を綴らせる事をすればするほど、現実の矛盾にぶつかり悩みぬいた。やがて秋田県の成田忠久などが中心になり北日本国語連盟ができる。山形県の国分一太郎などもその中に加わり精力的な活動を広げていく。いわゆる「北方の教育」の始まりである。やがて当時の軍国教育がはげしくなるにつれて、治安維持法などにより大弾圧を受けた。戦後の民主教育はなやかなりし頃、生活綴り方が復興し今日の作文の会にその精神は受け継がれてきている。
 しかし、「ひとまとまりの文章」をどの子にもわかりやすく具体的に教えている運動が広がっているだろうかと言えば、否ではないだろうか。5分間作文の短作文とか、絵を見て話を作る想像作文とか、情報をうまく受けとめ何字以内にまとめるとかの作文がはびこってきている。教科書の作文のベージも増えた。教科書はあくまで参考
にし、現実の墨田の地で育つ作文教育を大切にしたい。

錦糸公園にみんなで桜を見に行ったら桜がたくさんさいていたこと 4年 女子

       
四月九日木曜日、二時間自の国語のじゅぎょうが終った時、担任の榎本先生が、
「今日は、三、四時間目を使って錦糸公園に桜を見に行くことにし ます。」
と言いました。私は、
(やったあ、桜きれいにさいているかなあ。)
と思いました。少しして先生が、
「三時間自のチャイムがなったら、えん庭にならんでください。」
と言ってしょく員室の方へ行ってしまいました。休み時間、ゆうちゃんと話していました。急に私が、
「ゆうちゃん、もう、外に行ってならぼうよ。」
と聞いてみたら、ゆうちゃんも、
「うん、いいよ、行こう。」
と言ったので、階だんをおりて行って、くつにはきかえて行って見ると、もう何人かの人がならんでいました。私たちも、後ろへならんでチャイムがなるのをまっていました。1,2分花だんの上であそんでいると、榎本先生が来たので花だんからおりました。後ろを見てみると、長尾先生のクラスの4年2組も後ろから来ました。
私は、
(あれっ、2組もいくのかな。)
と思いました。榎本先生が、
「はい、いきまーす。」
と、みんなに聞こえるくらいの大きな声で言いました。ようち園の前を通って行きました。錦糸公園にやっとついて、まず榎本先生が、
「ふえがなったら、ここに集まってください。」
と言って、自由時間にしてくれました。私は、ゆうちゃんと手をつないで桜の木の方に走って行きました。桜の所について見ました。桜の木がたくさんあって上を見ると、うすピンク色の花、桜が数えきれないほどの数でした。風がくると、花びらがそこから少しおちていきました。どこを見てもうすピンク色でした。下を見ると下も風でおちた花びらが何千まいぐらい、まるで桜のじゅうたんを広げたみたいでした。ゆうちゃんも私も、
「きれーい、ぜんぶうすピンクだね。」
と言って、そのままじっと見ていました。少しして、私が、
「ねえ、ゅうちゃん、向こうの方も見てこよう。」
と聞いて見ると、ゆうちゃんも
「うん、みてこよう。」
と言って、すべり台の所まで走って行きました。そこは桜はあまりありませんでした。桜がたくさんさいているところにもどった時、
「ピー。」
と先生のふえがなりました。

生活態度・姿勢(認識のし方・操作)

○常へいぜいの生活のしぶり

○その時々の体や心の動かし方・行動

○教師が新学期になって、ゆったり公園の満聞の桜を見て一緒に楽しもうというねらいをしっかり受けとめている。
●担任の提案を受けて、桜の咲きぐあいを考える。
●休み時間になり、友達に声をかけ共に行動する。
●その他の友達やまわりのようすにも、目を向けたらもっとよい。
●担任が来るまでに、自分や他の人が待っている動き。
●1組だけでなく2組の先生や友達にも目が動き気がつく
●担任教師の言った会話やその時の声の調子に気がつく。
●友達とすぐ手をとりあって、す早く走っていく行動。
●桜の木の花のさきぐあい、ちり方、ちった後の地面の所に順にしっかり眼がいっている。
●桜の花の色づき方もよく見ている。
●他の場所の桜も見に行く事により、心がうきうきしているのがわかる。
○美しいものを美しいと素直に感じ行動できることは、常へいぜい草木などの成長にも関心を持っているからだ。

表現の方法・技術

○文章の組み立て方。

●こまかい書きつづり方。

○題名は書きたい事を切り取っているか。
○2時間のじゅぎょうの終った所から書き出している。
●いつ・どこで・誰が・何をしたという事がわかる警き方。
●書きたい主題につながる事は、会話にして書いている。
●その会話を聞いた時、心の中で思った事を素直に書いている。
●集合する場所を指示した教師の会話と動きをしっかり聞き、見た通りに書く。
●うれしい気持ちを友達に声をかけ、その事を会話の形に書く。
●下におりて行って集まり具合を見て、まわりの様子を書く。
●チャイムがなったら集まるという、指示通りの行動を書く。
●自分のクラス以外にとなりの2組の事にも気がついて書く。
●その時に、心の中に感じた(…。)でくくって書く。
●担任の声の大きさを書く。
●担任の指示を会話で書く。
●手をつないで、桜の木の方へ走って行く事で喜びが伝わる。
●桜がまん開で、いっぱいさいていた事がわかる書き方.
●風が吹いて、花ふぶきのようになってちっていく書き方。
●桜の花のちった地面が桜のじゅうたんを広げたようと書く。
●相手の友達のゆうちゃんの会話も聞きのがさず書く。
●他の場所へさそう会話。相手の会話をその通りに書く。
●時間にして1時間以上、自由時間が合ったのにこの分だと、10分くらいで終わってしまっている。残念。
○最後の笛の音でしめくくっているところが、場面を切り取っている。
1992年5月14日

文章を生き生きと書く最も大事にしたいこと

①じっくり自分や相手のしたことを、ていねいに思い出せること。
②そのためには、ひょうげんけたいは、「…でした。」「…ました。」という過ぎ去った書き方が基本。
③いつ、どこで、誰が何をしたかがわかる文章を書く。
④一文は、短く切って表現して書く。
⑤相手の会話、自分の会話はかぎかっこを使って書く。
⑥その時心に思ったことは、ふつうかっこ(…。)を使う。
⑦自分はわかっていても、他の人がわかるように説明も入れて書く。
⑧出来るだけ、まわりの様子も覚えていたら思い出して書く。
このことがうまく出来るためには、五官(五感)である、目(しかく)、耳(聴覚)、鼻(臭覚)、舌(味覚)、ひふ(触覚)などをいつも生き生きとして働かせておく。(生活のしぶり)
2012.3.25

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