子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

6月13日(水)15年前の一枚文集

6月13日(水)15年前の一枚文集

 時々昔の文集を見直したりしている。墨田区立立花小学校の4年生の1号の文集のページに目がとまった。それは、今回の国分一太郎「教育」と「文学」研究会の記念講演をして下さる、横須賀薫先生のことが書かれていたからである。今回で、2度目の講演をして下さるが、10年くらい前だと思っていたら、15年前になることがわかった。まずは、その時の文章を、ここに載せる。

しなやかさというたからもの  国分 一太郎

 いまのこどもたちは、動植物と同じ仲間である「ヤバンな期間」を、ついに失ってしまった。こども時代の特権である「ひまな時代」をもつことを許されなくなってしまった。ちょっとふりかえれば、子どもにとってそれが不幸であるぐらいなことは、おとなどもにはよくわかるはずなのに、おとなどもが、「ヤバン時代」と「ひまな時代」を、こどもたちからうばいとってしまった。
 子どものからだも自然である。やわらかい皮膚、筋肉、はらわた、血、それに骨。魂のもとである神経や脳みそさえが、物質という自然である。そうであるならば、子どもの筋肉や神経をつよくしなやかに発達させるにも、周囲の自然との接触を活発にさせてやらねばならぬ。自然のなかであばれまわり、それにぶつかっていくことをさせねばならぬ。ヤバンな時期の特性を発揮してあばれまわり、ひざ小僧をすりむいて血が出たり、虫にくいつかれたり、さされたり、ウルシにかぶれたり、こうすることで、自然の治ゆ力が内側からみなぎり育っていくのをそそのかさねばならぬ。土や石や水や草木や動物どもとぶつかりながら、ねじる、ひねる、のばす、折る、まげる、ひっぱる、ちぎる、たたく、投げる、ひろう、もとへもどす、こういうためしをどんどんしなければならぬ。
「しなやかさというたからもの」(晶文社)の「あとがき」のいちぶより 1973年

 ぼくは、この本を読んで、自分がこどもたちにできることは何かと考えた。鉛筆削りは、ナイフを使おう。ひもを結んで、指先を器用にするには、ベイゴマをすればいいのではないか。
 剣玉を使って、神経を集中していけば、遊びながら大切なことが回復するのではないかと考えた。以来、何年生を担任しても、このことを頭の中に入れて歩んできた。休み時間や放課後に、思い切り体を動かして遊ぶことは、とても大事なことを、自然にやっていることなのだと、自分に言い聞かせている。特に小学生までの時期は、本当にそれは、宝もののような気がしている。

進級おめでとうございます

 今年の桜は、例年並みで、昨年より十日ほど遅く今が盛りと咲いております。小学校生活の中で、もっとも充実するのが、中学年時代だとも言われています。一年前の三年生の時に、君らと出会ってから、充実の一年間を送ることができました。縁あって、また一年間、ともに過ごすことができることを、とても感謝しています。
 僕は、どの学年を担任しても、自分のクラスを日本一のクラスにしようという気持ちを持って、歩むことにしています。そのためには、君たちにも同じ気持ちで、これから過ごしてほしいです。一年間過ごした去年の「はらっぱ」をながめながら、良くやったなあと、自分を一人でほめています。そのくらい、すてきに光り輝いていた一年間であった気がします。それは、君らがいつも光り輝いていたおかげでもありました。それと、お父さんやお母さんやおじいちゃんやおばあちゃんなど、大勢の人が見えるところ、見えないところで応援してくれたおかげでもありました。
 4月12日(土)から、2日間山形県の東根市に出かけてきます。はらっぱの最後に書いたように、我が恩師「国分一太郎先生」の墓参りと、「こぶし忌」という会に出るためです。今年は、国分先生のゆかりの方として、横須賀薫(宮城教育大学学長)さんが、国分先生の功績を講演されます。僕は、国分先生の「思い出を語る」というところで、少しばかり話をする予定になっているので、緊張しています。この春休みも、その話す原稿のことをずっと考えていて、終わりになってしまいました。
 この一年間も、たくさんの出会いがあるでしょう。その出会いは、大切にしてほしいものです。何に対してもそうですが、そのことに全力でぶつかっていくと、そのあとには、必ずいい結果が残るものです。
 何でもかまいません。自分の好きなことに心と体を、最後まで力一杯出し切ってください。
 保護者の皆様、この一年間も今まで以上によろしくお願いいたします。

15年前の4年1組の一枚文集

 発行年月日を見ると、2003年4月7日となっている。「こぶし忌」の最後の会ではないかと思う。私が、「国分先生の思い出を語る」を引き受けたときだったことを、思い出した。横須賀先生も、宮城教育大の学長のときだったこともわかった。

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