子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

3月20日(月)教室は間違うところだ

3月20日(月)教室は間違うところだ

 君たちと一緒に過ごす中で、次のような詩を鑑賞したのを覚えているだろうか。ぼくは、この詩を教師のスタートを切ったときに、隣の先生が、うしろの黒板に書いてあったのを読み、内容に感動したのである。以後、必ず1年に1回は、この詩をみんなで鑑賞し、間違うことは、何でもないと言うことを伝えたかったのである。

教室はまちがうところだ

教室はまちがうところだ
みんなどしどし手をあげて
まちがった意見を言おうじゃないか
まちがった答えを言おうじゃないか
まちがったことを恐(おそ)れちゃいけない
まちがったものを嘲笑(わら)っちゃいけない

まちがった意見をまちがった答えを
ああじゃないか こうじゃないかと
みんなで出し合い 言い合う中で
ほんとの{真実}(しんじつ)ものを見付けていくのだ
そうしてみんなで伸びていくのだ

いつも正しくまちがいのない
答えをしなくちゃならんと思っているから
そういうとこだと思っているから
まちがうことが こわくてこわくて
手をあげないで 小さくなって
だまりこくって 時間がすぎる

しかたがないから先生だけが
かってにしゃべって生徒はうわのそら
それじゃあちっとも伸びてはいけない
神様でさえ まちがう世の中
ましてこれから 人間になろうとしている
ぼくらが まちがったって
なにがおかしい あたりまえじゃないか

うつむきうつむき
そっとあげた手 はじめてあげた手
先生がさした
どきりと 胸が大きくなって
どっきどっきと 体がもえて
立ったとたん 忘れてしまった
なんだか ぼそぼそ しゃべったけれど
何を言ったのか ちんぷんかんぷん
わたしは ことりと座ってしまった

体がすうっと涼しくなって
ああ言やあよかった
こう言やあよかった
あとで いいことうかんでくるのに
それでいいのだ いくどもいくども
おんなじことを くりかえすうちに
それから だんだん どきりがやんで
言いたいことが 言えてくるのだ
はじめからうまいことを
言えるはずないんだ
はじめから答えが当たるはずないんだ
なんどもなんども言っているうちに
まちがううちに
言いたいことの半分くらいは
どうやらこうやら言えてくるのだ

それから たまには答えもあたる

まちがいだらけのぼくらの教室
恐れちゃいけない
嘲笑(わら)っちゃいけない

安心して 手をあげろ
安心して まちがえや

まちがったって 嘲笑ったり
ばかにしたり 怒(おこ)ったり
そんなものはおりゃあせん

まちがったって 誰かがよう
なおしてくれるし 教えてくれる
困ったときには 先生が
ない知恵しぼって 教えるで
そんな教室作ろうやあ

それはへんだと言われたって
そりゃちがうといわれたって
そう思うんだからしょうがない

誰かが かりにも嘲笑ったら
そう思うんだから
まちがっていることわかればよう
人が言おうが言うまいが
おらあひとりであらためらあ
わからなけりゃそのかわり
だれが言おうと こずこうと
おらあ根性(こんじょう)まげねえだ
そんな教室作ろうやあ
ま き た   し ん じ
蒔 田  晋 治 (静岡県 小学校教諭)

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