子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

1月12日(木)豊島作文の会の提案その6

1月12日(木)豊島作文の会の提案その6

ぼくが不登校と言われていやだったこと 5年 男子 K ・ T

 十月十九日火曜日の三時間目のことです。その時、担任の広沢先生は、二人目の子供が生まれる予定だったので、きゅうかをとりました。なので、かわりに、四年生のたんにんの松井先生が来ました。少したって、松井先生が、
「手紙あるから、今、配っちゃうからね。」
と言いました。そして、松井先生が、手紙を配りました。その中に、
「不登校・引きこもりへの対応。」
と言う手紙が配られました。その題名を見て、友だちのH君と、A君とNちゃんがぼくに対して悪口を言ってきました。さいしょは、Nちゃんが、
「これT君じゃん。」
と言いました。そのつぎ、A君が、
「たしかに。」
と言いました。その後、H君が、
「あいつじゃん。」
と言いました。
(ぜったい、ぼくのことだ。)
と思いました。その後、また、Nちゃんが、
「T君に、おすすめだよ。」
と言った後に、その三人が、
「そうだよ、おすすめだよ。」
といってきたので、ぼくは、
(なんだし、うざっ。)
と思いました。そして、配られた紙に、
(何で、こんな手紙、この世にあるんだし。)
と思って、手紙をにくみました。ぼくは、その後、少し、いやな顔をしました。Aさんは、ぼくが少しいやな顔をしたことに気づいていたのか、ちょっとだまりました。学校が終わっても、少しいらいらしてたので、ばれないところで、思いっきりさけびました。大きな声で、
「あああ。」
と一回さけびました。でも気がすまないので、家で、まくらを少し上に投げて、思いっきりそのまくらを一かいなぐりました。
 それで火曜日は、気がすみました。その後、ねました。
 次の日の四時間目に、広沢先生が、そのことを話しました。それで、みんなが反省してくれたので、
(よかったなあ。)
と思いました。
 今日あったようなことは、けっこうよく言われています。たとえば、朝早くおくれずに学校に来て教室にはいると、
「宿題やった。」
とせめるように言います。よく言う人は、H君、A君、S君が言ってきます。
 このように、ストレートに人の悪口を言ってしまう集団であった。日記を書かせていたので、何でもそこに書いてくれた。その文を担任に見せて、解決をするように仕向けることが時々あった。このこどもたちも、それぞれ家庭的には、色々な問題を抱えている子どもたちであった。その中の1人の子どもの父親が高血圧が原因でなくなった。病気持ちであったが、コンビニを掛け持ちで仕事に明け暮れ、病院にも行けなかったようだ。母親は、フィリピン人で、一番下の子どもは、生まれたばかりの子どもであった。お葬式をあげられないと言うことで、学校が町会にお願いして、ささやかな葬式をしてお見送りをした。

養護施設に、行くことになったこと 六年 男子

 僕の母は、体が丈夫ではありません。僕が二年生の時、母は腰を悪くしました。病院に行ってレントゲンをとりました。医者からは、一ヶ月の入院だと言われてしまいました。僕の家は三人家族でした。姉も五年生だったので、一緒に養護施設に行くことになりました。母は、とても悲しみました。

養護施設に入った日

 十月二十一日に、養護施設に行くことになりました。僕は、二年生だったから、預かってもらう事の意味が分かりませんでした。預かってもらうところの建物の前に行ったとき、僕は、
(泊まるんだなあ。)
と思い、思わず泣いてしまいました。母も目に涙を浮かべていました。でも、預かってくれる人が、
「お母さんが困っているよ。中に入ったら、いっぱい泣いていいんだからね。」と言いました。僕は心の中で、
(そうだなあ。)
と思っていました。だから、僕と姉は笑って、
「バイバイ。」
と言うと、母も、
「バイバイ。」
と、別れました。

養護施設の部屋

 部屋は、男女別々でした。だから、初めは僕一人で遊んでいました。姉は、女子の部屋に行きました。僕は、一人ぼっちだったけれど、みんなが遊びに誘ってくれました。みんなと言っても十人だけでした。トランプゲームをして遊びました。僕は、トランプが苦手だったので負けてしまいました。最後は、みんなが僕を勝たせてくれました。夜は五人で寝ました。一週間経つと、運動会がありました。障害物レースがありました。僕は一位になって、みんなに、
「一位なんて、すごいね。」
と言われました。その日をさかいに、僕はトランプなどのゲームによく誘われるようになりました。でも、僕の心は悲しくもなっていきました。施設を離れる日が近づいたからでした。最後の日の朝、僕は友達から、
「トランプしない?」
と、誘われました。
「するよ。」
と言って、僕はみんなと遊んでいました。窓の外を見ると、僕の母が来ていました。母の顔を見たとき、僕はうれしくなりました。養護施設の人に、
「もう来たから、帰る用意してね。」
と言われました。一階に下りて、母に会いました。養護施設の人に、
「ありがとうございました。」
と、お礼を言いました。それから、自分の家に帰りました。

初めてお世話になった家

 四年生になり、母の腰がまた悪くなりました。今度は、施設ではなく普通の家に預かってもらうことになりました。その家の人は、社長さんでした。家族は、社長さんとその奥さんの二人だけでした。やはり僕と姉の二人で、そこの家に預かってもらうことになりました。土曜日や日曜日になると、社長さんが運転をして、ドライブを楽しみました。アスレチックや遊園地などに連れていってもらいました。行けば必ず、食事をしておみやげなどを買ってくれました。
 僕は、社長さんの工場に行きました。そこで、車に積んである荷物を下ろしたり、運んだりしました。一回に二時間くらい働きました。終わると、近くのデパートに連れて行ってくれました。そこで、ジュースやアイスを買ってくれました。また、誕生日には、ケーキと飲み物を用意してくれました。誕生日プレゼントも買ってくれました。プレゼントは、熊の人形でした。その熊は、洋服を着ていて、サラリーマンみたいなかっこうをしていました。今でも、大事に机の上に飾ってあります。その人形を見ると、その人たちと過ごした一ヶ月のことを思い出します。
 この一ヶ月間は、社長さんの家から堤小学校まで、バスで通っていました。二回バスに乗り換えて登校しました。一時間くらいかかりました。とても親切にされたので、別れるときは悲しかったです。
 母が、その家に迎えに来てくれました。社長さんの奥さんが、僕たち三人を、
「車で家まで送ってあげたら。」
と言ってくれました。奥さんも一緒に、車に乗って送ってくれました。家に着いた時、僕は、泣きながらその人たちに、
「一ヶ月、預かってくれて、ありがとうございました。」
と、お礼の言葉を姉と二人で言いました。奥さんは姉を抱きしめ、社長さんは僕を抱きしめてくれました。社長さんたちも泣きながらお別れしました。
 僕は、この六年間に多くの人に親切にしてもらい、お世話になりました。大人になったら、その人たちに、お礼のあいさつをしに行きたいです。そして、母親にも親孝行をしたいと思います。
 もうじき卒業していきます。感謝の心を忘れないようにして暮らしていきます。

 シングルマザーのこの母親は、この子と上の姉を育てるには、厳しい体になり、このように養護施設にお世話になったりしていた。親に子どもを育てる力がないときには、このような施設もあることを学校が紹介したのであろう。
 学校の給食が唯一の栄養源になっている子供もいた。親が必死に生きているので、子どもに手をあまりかけない家庭も何人か見られた。経済的に恵まれていないので、荒いことば・人を傷つける言葉を平気で発する子供もいる。しかし、作文などを書かせると、素直に正直書いてくれる。その文章をクラスで読み合うことによって、自分が相手を傷つけたことは、素直に認める子どもたちであった。

あれから7年が過ぎ去った

 この子どもたちと別れてから、七年が過ぎた。格差社会は、ますます広がってきている。今日本は、様々な事情で、母親も働きに出るようになった。そのために、保育園に預けて働く親が増えてきた。保育園の保育士の給料が低いので、待機児童問題が出てきた。一般の平均の給料より、十万近く低いという。老人ホームの介護士の給料も同じに低い。特別老人ホームには、要介護三以上にならないとすぐには入れない。そのため、有料老人オームならいつでも入れる。しかし、月に二十五万以上払わないと入居できない。
 かって、百年安心老後生活と歌った自民党の年金問題は、誰も信用していない。
☆1今や年収二百五十万以下の人たちが、一六三五万人に増えている。そのうち、「有 期雇用労働者は、一五〇〇万人」「派遣労働者は、一三五万人」2013年「労働契 約法の改正」により、2018年4月雇用期限となる。低賃金のまま「無期雇用」と するか、通算5年になる前に「解雇」するかになる。一生派遣労働者になる人も出て くる。正規でないので、社会保障・年金はない。
「世界で1番、働きやすい国・日本を目指す」という政府の言葉は、その裏の本質は、「世界で一番労働者を使い捨てできる国・日本」と思えてならない。
☆1以下は、「滝の会会員」の内田進さんの資料を参考に。
  昨年十月に生活保護を受けた世帯は前月より九六四世帯多い一六三万七八六六世帯となり、増加の主な要因は、六五才以上で一人暮らしの世帯が増え、障害者らの世帯や母子家庭が増えたことも影響した。(厚生労働省発表)朝日新聞17年1月12日朝刊。

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional