子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

26号

はじける芽26号

イラク対多国籍軍の戦争 柳島小 6年 男子

 このことを知ったのは、今年に入ってまもなく、1月17日の午後5時半頃、同じクラスの百瀬君と遊んで帰った時だった。帰って来て、こたつでおかしを食べていると、母が、
「一徳、多国籍軍がイラクを攻げきしたってよ。」
と言った。ぼくは、
(ええって!)
とおどろいてしまった。
 昨年の入月、イラクがクエートを侵攻した。ぼくは、このことを聞いて、
〈何でイラクば、クエートを侵攻したのかなあ。)
と思った。
 1月15日のKデー(イラクがクエートから撤退する期限)をすぎても、イラクがクエートから撤退しなかったから、多闘籍軍が武力行使に出たのだ。この前、テレビを見ていたら、イラクのフセイン大統領が、
「ブッシュ〈アメリカ大統領〉は悪魔だ。神は我々に味方するであろう。」
と言っていた。ぼくは、
(なに言ってんだか。)
とあきれてしまった。
 他には爆撃を終えたアメリカの爆撃機のパイロットが、
「爆撃した時のイラクは、クリスマスツリーのようにあざやかできれいであった。」
と言っていた。ぽくは、
(爆撃した時、きれいだったなんて、あまりにも残こくな人だな。)
と思った。〈途中八行略〉
 それからニ週間がすぎた。しかし、いっこうに解決のめどが立っていない。今、ベルシア湾では、重油(石油)汚染という非常に探刻な問題をかかえている。ペルシャ湾に止めであったタンカーの重油がイラク、多国籍軍どちらかの兵士によって流されていた。
 その日の午後10時からのニュースステーションを見ていたら、久米さんというキャスターが、
「日本時間の午後十時現在、タンカーのあった所から南東に80キロにわたって重油が流されていて、一時間におよそ1キロの速さで風に流されています。」
と言っていた。その後に、重油が体について飛べなくなっている水鳥が映された。ぼくは、
(この水鳥たちは、なにも悪いことしていないのに、こんなになってしまってかわいそうだな。そして、この姿のまま、死んでいってしまうなんて…。どっちの兵士か知らないけど、何でこんな悪いことするんだろう!)
と、だんだんいかってしまった。〈途中4行略〉
 次の日の四校時、米倉斉加年さんという人が書いた、『大人になれなかった弟たちへ』という文を榎本先生と読みあった。それはとても悲しい文だった。その内容は、簡単に言えば、この人の弟のヒロユキ君が栄養失調のために、大人になれずに死んでしまうという文だった。一番心にジーンときたのは、お母さんが、
「ヒロユキは幸せだった。母と兄とお医者さんと看護婦さんに見とられて死んだのだから。空しゅうの爆撃で死ねば、みんなバラバラで死ぬからもっとかわいそうだ。」
と言った所だ。榎本先生が、
「感想を言ってください。」
と言ったので、
「戦争のひもじさがわかった。」
と、ぼくは言った。
(もしこのイラク対多国籍軍の戦争が第2次世界大戦のようになってしまったら、ぼくたちには関係ないかも知れないけど、米倉さんの弟のヒロユキ君みたいに栄養失調で死んでしまう人もいるかもしれないな。)
と思った。
 イラク対対多国籍軍の戦争は、いつ終わるのでしょうか?平和にならないのでしょうか?早く解決してもらいたいです。

生活態度・姿勢(認識のし方・操作)

○常へいぜいの生活のしぶり

●その時々の体や心の動かし方・行動

○戦争が始まった日のことをきちんと覚えている
○母親も戦争開始のことを良く受けとめ、子どもに伝えている。
●疑問に思ったことを、素直にだす姿勢。
○テレピの報道番組を良く見て、大切なことを受けとめている。
●フセイン大統領の発言、アメリカのパイロットの感想を良く見て聞いている。
●自分の意見をすぐ心の中で思い浮かべるのは大切だ。
○2週間たっても、この戦争をずっと考えている。
●地球環境汚染のことを、ずっと見たりして良く覚えている。
●水鳥のことは、どこのニュースや新聞で取りあげ考えていたか。
●授業の内容を良く覚えている。
●戦争は、兵隊(軍)同士の戦いでなく、あらゆる人々をまきこみ死に追いやることもある。
●果たしてぼくたちに関係ないのだろうか。
●アメリカの多国籍軍百人以下、イラク軍並びに一般の国民の死15万人以上とも言われている。

表現の方法・技術

○文章の組み立て方。

●細かい書きつづり方。

○戦争が始まった日付けを良く覚えていて、その日の出来事から書き始めている。
●いつ・誰が・どこで・何をしていると・誰が・会話で・言った。
●その事を聞いた時の自分の気持ちが( )でくくって書けている。
○戦争の原因を昨年の8月にさかのぼって、Kデーまでのことを整理している。
●1月15日をKデーという日と知っていて説明している。
●テレビ報道のフセイン大統領の演説の内容を会話で書いている。
●その時、思った自分の考えをきちんと書いている。
●爆撃を終えて帰って来たパイロットのインタビューに対する内容を会話体にして書いている。
●ここでも自分のコメントを書く。
●戦争開始後、二週間後の出来事が、ここから始まる。
●タンカーの重油がペルシャ湾にもれた内容を、環境汚染の立場で書いている。
●夜遅く、報道番組を見て、キャスターのコメントの内容を会話体で書いている。
●重油にまみれた水鳥の映像を見て、自分のその時のいかりを、その通りに書いている。
○ここから、授業の内容にふれる。
●米倉さんの戦争中のひもじい内容を綴り、最後になくなっていく弟への思いを、自分に引き寄せて書いている。
●特に心の中に強く残った所をきちんと引用して書いている。
●この時点では、戦争はまだ終わってないので、戦争で多くの人びとが悲しい思いをすることをその文の内容とつなげて考えている。

 この一年間、おもに5,6年の作品を中心に、文の部分をどのように読みとっていくのかを考えてきた。それが、今後他のこの作品を読み、どう指導していくかに関わることであったからだ。子ども達に生き生きしたものの見方、考え方を深め、それをひとまとまりの文にするには、『何を、どう綴らせていくのか』今後も考えていきたい。
1991年3月14日

真実を見抜く力

 たしか、油にまみれた水鳥の写真が映像でテレビや新聞に報道されたとき、人びとは戦争のむなしさに胸を痛めた。しかし、それがアメリカのやらせであったと、ずいぶんあとから知って、あぜんとしたものだった。権力というものは、どうにでもマスコミを操作して、世界中の人々をもごまかすことをする。しかし、この子どもが、この時点で感じたとおりのことを綴ったことはすばらしい。やがて、それが真実でなかったと知れば、新聞やテレビの報道は、すべて正しいのではない知ることが出来る。今起きている東京電力の原発事故の報道が、正しく報道されていないことも国民一般は、わかり始めている。そのことが、政府と一体になって、行われていることを国民は怒りを持って追求すべきなのだ。だらしないのは、マスコミも批判することに躊躇している。『ただちに放射能の影響はありません。放射能は漏れていません。』と、事故が起きて枝野官房長官は、テレビ会見をした。あとから、『あれは、最悪のシナリオを説明すれば、国民が動揺すると考えてのことであった。』としらを切っている。そのことに、強く抗議するマスコミは、ほとんどない。あのうその報道によって、放射能危険地域の子どもや大人達も、安心して外に出てしまったのである。数年後、数十年後に体に異変が起きたときの責任は、誰が取るのであろうか。
 それにしても、東京電力の責任者が、堂々と未だに国会やテレビなどに出て発言していることそのことがおかしい。東京地検特捜部は、なぜ取り調べをしないのであろうか。オリンパスの元社長らを逮捕したが、比べたら、はるかに国民に迷惑をかけているのが東京電力である。たくさんの人々を強制疎開させ、自殺者まで多くだし、今だに仮設住宅でくらしている人たちが大勢いる。その責任者を逮捕して、徹底的に調べるべきなのである。元会長・社長は、5億円の退職金が出ると一時報道された。マスコミは、それをきちんと追求すべきなのである。今や、一部週刊誌やスポーツ新聞の方が、原発事故に対しては正しい報道をしている。朝日が、少し盛り返して、昔のことを振り返って『プロメテウスの罠』や原発事故そのものを追求しだした。少し遅い気もするが。東京新聞のみ、一貫して批判続けている。今や、テレビより、ラジオの方が正しい報道が聞こえてくる。文化放送朝6時から8時半の『吉田照美のソコダイジナトコ』のコメンテーターのご意見は、本当にすばらしい。
2012.2.16(木)

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