子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

6月8日(木)福島大会での提案原稿

6月8日(木)福島大会での提案原稿

第66回全国作文教育研究大会 2017.7.28〈金〉30日〈日〉
③困難を抱えた子どもたちの言葉・表現〈いじめを含む〉    提案者  榎 本 豊(東京豊島作文の会会員)

「人権集会」を進めるにあたって(案)   T小研究推進委員会
 これまで言われ続けてきたT小児童の実態は、語彙不足も関係し「うるさい」「死ね」等と言う言葉がすぐ出て、自分の今の気持ちや、生活、人間関係をていねいに捉え表現できていない傾向があるということである。(この内容は、これからの教育活動を通してより具体的に明らかにする課題である。)
 そのため「聞く」「話す」の課題においても、友だちや先生の話をしっかり聞けない、また単なる「おしゃべり」はできるが、人前で筋立て(構想を立て)て話すことが苦手である。さらに正当な話をしてもちゃかされるなど、個としても集団としても育ちづらい傾向が見られる。
 こういった課題に少しでも切り込むため、一人ひとりの表現力を豊かにすると同時に集団の質を高めるため「人権」という視点をすえ「集会」を位置づけたい。
・十二月初旬にT小「人権集会」を設定する。
・各学年一点ずつ作品を発表することによって、T小学校の子ども達がどんなことに目を向け大切にしたらよいのか、その方向を指し示す場として「人権集会」を開く。
・人権をくらしのあらゆる場面で事実に基づいて、具体的に見つめる。
・人権の視点に立って、子どもの文章表現力を高める。
・作文を聞き取る側として、認め合う・つながり合う・支え合う集団の高まりを導く。
・人権の視点のある作品を各学年1点以上持ち寄り、作品分析をし合う。
・どの作品を発表に使うか決め、その作品を分析し合う。
・十二月の「人権集会」までの間に、どの作品を発表し合うのか決めて、その児童に準備をさせる。
「人権集会」に備えて、子どもたちに身につけさせたい文章表現力。
Ⅰ、自分や周りの人がしたことや、見たこと、聞いたことをじっくり思い出して表現する。
(「・・・でした。」「・・・ました。」と、過去形で表現する。)
そのためには、次のような作文は書かせない。
「僕は、お年寄りの人には、親切にしたいです。そんな人に、道をたずねられたら、ちゃ んと聞いてあげたいです。できたら、その人に分かるまで、教えたいです」
「駅の近くには、黄色い色で、凸凹の印が付いている道があります。これは、目の不自由 な人が、杖をつきながら歩けるようにしているのです。そういうところに、自転車が置 いてあると、目の不自由な人が、歩けないので、大変困ります。障害を持った人には、 もっと 理解をして、親切にしていきたいです。」(決意文)
  このような文章は、最初から書かせるべきではない。なぜなら、頭の中で考えた文章 であり、自分の体験に基づいて、感動した事実を書かせていかなければ、口先だけの中味のない文章だからである。
Ⅱ、人間に注目させる文章を書かせる。
・この人間とは、友だち、先生、家族、身近な人、見知らぬ人全てを含む。
・人間に関わりのあることの中で、くやしかったり、うれしかったことで、心に強く残 ったことを、じっくり思い出して書いてみよう。(一斉の授業・指導題目)
 このような題目で、全員に書かせると、クラスの中で関わりのある文章が出てくる。
 子ども自身が、本当の事実を書きながら、喜怒哀楽をしっかり掴むことになる。

指導過程  

(1)表現意欲喚起 
 実際に書きたくなるように、作品を持ってきて、読み合い、話し合ってみる。(作品は、2~3作品がよい。)
(2)取材・題材・構想
 取材カードや日記などに、そのような出来事があったら、必ず書くようにさせる。
 一番書きたいことから書くようにさせる。必ず、きっかけを書き出しに入れる。
(3)記述
「・・・でした。」「・・・ました。」と過去形の文章で書くようにさせる。必ず、   出来事の順に書くようにさせる。
「文章を、生き生きと書かせる八つの大事なキーポイント」を意識しながら書く。
(4)推敲(推考)
 書き上げた作品を、必ず読み直して、「句読点」「漢字」などに直し、思い出したところは、さらに書き加える。
(5)鑑賞
 完成した作品の中で、指導題目に合っている人権の視点のある作品を、みんなで読み合い、「書きぶり」「生活のしぶり」のよいところを、誉め合い、考え合う。
 いじめは、こういう事から始まる。黙っていると、いじめられている子だけが、ずっと嫌な思いでいることになるのです。皆さんも、この事を、一緒に考えましょう。

1 生き生きとした日記を書くためのポント

(1)身のまわりの出来事で、心が動いたこと(ある日のこと)をえらぶ。
(2)したことの順によく思い出して書く。
(3)いつ、どこで、だれが、何をしたのかがはっきりわかる文章にする。
(4)そのとき、自分が話したり、相手が話したりコトバは「  。」を使って文にする。
(5)そのとき、思ったり考えたりしたことは、(    。)を使って文にする。
(6)ものの形や色、大きさ、てざわり、においなど五感をはたらかせたことをよく思い  出して書く。
(7)そのときの自分のうごきや、周りの様子も書くようにする。
(8)自分がわかっていることでも、読む人が分かるように説明も入れて書く。

2 とりあげるポイント

(1) 書いたことをほめる。
(2) 一つのことを書いていることをほめる。
(3) 題のつけ方をほめる。
(4) めったにないことを題材に選んだことをほめる。
(5) 自分の気持ちを素直に書いていることをほめる。
(6) したことをしたとおり書いていることをほめる。
(7) 聞いたこと、話したことを書いたことをほめる。
(8) まわりの人のことを書いたことをほめる。
(9) いつ、どこで、だれと、どうした話かはっきり書いたことをほめる。
(10)読む人のために説明していることをほめる。
(11)心のはたらかせ方をほめる。
(12)表現技術が生かされていることをほめる。
・学期に1回は、一斉に指導題目を決めて書かせることが大切。
・12月の人権作文集会に向けて
  一週間に1~2回、日々の生活で心に残った出来事を書かせる。(日記) 10月中旬
 ある日ある時、友だちとのことで、心に強く残った出来事を、あった順、した順にていねいに思い出して書いてみよう。
① 友だちに親切にされて、とてもうれしかった出来事。
② 自分が困っているときに、声をかけてくれたり、はげましてくれたりしたこと。
③ 友だちにいやなことをされて、傷ついたことがあったら、そのことを、正直に書いて  みよう。
④ 書いた内容は、良く思い出して、ていねいに、あった順に書いてみよう。
⑤ らんぼうな言葉で、自分のことをバカにされたこと。
⑥ 何かあると、すぐに「おまえ。」「うるせい。」「死ね。」などと、きずつくことをよく 言われる。
 学校生活の中や、家に帰ってからの暮らしの中で、心に強く残ったことを、生き生きと書いてみよう。
・このようなタイトルを、子どもたちにアピールして、できれば、1週間に1~ 2度ほど日記を提出させるか、一斉指導で作文の時間を持つ。その際に、ここに当てはまる作品を、いくつか読み上げ、表現意欲・題材意欲を高めるようにする。
・書いてきた作品の中から、比較的良くねらいに当てはまる作品を全員の前で、読み上げて、鑑賞し、良い描き方、良い見方を全体の前で、指摘してあげる。
(その際に上の1と2を参考にして、あくまでも、ほめることを大切にする。)
11月中旬
 人権集会に備えて、このような題目を立て、日記や作文の時間に書かせる。
「学校生活や、家に帰ってからの生活の中で、親切な言葉かけなどで、心温まる気持ちに なったり、逆に嫌な思いをしたりすることがあったら、それを思い出して書いてみよ  う。」
  表現意欲・題材・構成・記述・推敲・鑑賞として、6~7時間ほど確保したい。
参考作品としては、昨年度の人権集会の作品「研究紀要」(2007年3月堤小)
「年刊児童・生徒作文集」10冊(日本作文の会発行・過去10年間の日本中の優れた作文と詩が掲載)「教室で使える作文の本1~6年」(百合出版)
「教室で使える日記の本1~6年」(百合出版)
「ないしょみつけちゃった」子ども詩集(東京の子の30年間に書かれたすぐれた詩)

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