子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

8月16日(日)母の死後の始末

8月16日(日)母の死後の始末

 お通夜。告別式が終わり、事務的な仕事が色々あり、やっと一息ついた感じである。最初、家族葬と言うことも考えたが、あとでそのことを知った方々が、お線香に挙げに来て下さることを考えて、最小限の方々に連絡を取った。毎年クラス会をして下さっていたわたしと同年齢の石田さん、年賀状を必ず出して下さった教え子の皆さんには、出来るだけ調べて連絡を取った。最近の年賀状には、住所は書いてあるが、電話が書き込まれていない方が多いので、連絡が取れない方も結構出てきてしまった。それと、母が一番世話になった家庭科教育者連盟には連絡をしようと、川口に住んでいる伏島さんに連絡を取った。定年退職後に世話になった退職教職員組合の方には、連絡を取る方法がわからなかった。しかし当日を迎えると、年配の方がたくさん見えていた。わたし自身のかかわりのある会が2つあった。綴方理論研究会と豊島作文の会である。後から連絡すれば良いと、最初は、連絡をしないままいた。しかし、田中定幸さんと、別な連絡を取らなければならない大事な用事があり、連絡を取ったときに、母親が亡くなったことを伝えた。皆さんには、連絡しないで結構ですからと念を押したのだが、田中さんの方で、色々連絡を取って下さった。
 お通夜、告別式には、100人近くの人たちが来て下さった。教え子さんが、40人くらい見えていた。家庭科教育者連盟の方々が、30名以上来て下さり、伏島さんには、感謝している。そのほか、母が住んでいた浦和の近所の方が、7,8人見えていたのも驚いた。お通夜が日曜日であったので、告別式の方は、さすがに少なかったが、それでも老人ホーム「まどか」から4人も来て下さった。教え子の石田さん、中嶋さん、佐野さんの3人の方々は、告別式終了後に焼き場にまで行って下さり、最後まで我々親族の者と一緒にお付き合いをして下さった。
 セレモニーに戻ってきて、参加して下さった方々と、会食をして頂いた。せっかくの機会なので、教え子さんには、母との思い出を語って頂いた。それぞれ、心に残るお話であった。親族である我々も、自己紹介をしてもらった。こんな機会でないと、これだけの顔はそろわない。わたしは、感謝の挨拶の中で、あのことはしゃべっておこうと決めていた。それは、母が離婚をして、家に戻ってきた話である。この話は、母が定年してずいぶん経ってから聞いた話であった。離婚したばかりの時に、これからどう生きていこうかと悩んでいたときに、とんでもないことを考えていた。しかし、そのことは、わたしのひとことで、我に返ってやめたという話である。つまり、まだ寝返りも出来ない弟の宏をおぶって、3才にもなっていないわたしの手を引いて、自殺をしようと考えて、今はなくなったかも知れない大宮と与野駅の間にある「欄干橋」の近くを歩いていた。そのとき、「お母ちゃん、お星様がきれいだね。」という私のことばで、我に返ったそうだ。「あの時の豊さんの言葉がなかったら・・・」ということを初めて、私に語った。そんなことがあったのかと、その話をしみじみと聞いた。この話をそこでしたのだが、胸一杯になり、最後まできちんと伝えられなかった。
 山形でお世話になった、玉田勝郎さん(関西大学名誉教授)に、別の連絡をメールで取った。玉田さんからは、山形でのご自分の記念講演のテープ起こしをしたので、読んで下さいと連絡が来ていたのだった。すぐに連絡できずに、遅くなってしまった理由は、母の死があったことを、伝えなければと思い、ひとこと書いてしまった。
 すると、本日、そのご返事を頂いた。心のこもったメールであったので、ここに合わせて載せるっことにした。

榎本  豊   様
 厳しい残暑の続く中、お母上のご逝去の報に接し、言葉を失いました。つつしんでお悔やみ申し上げます。山形での研究会の準備、等に奔走され、母上とご会話を交わされる時間すら無かったのでは、と思い、また、それなのに、私は身勝手な「お願い」をし続けました。申し訳なく思います。伏してお許しを乞います。
 メールにて、「えのさん日記」の、母上との「お別れの言葉」を知らされ、つつしんで拝読いたしました。
 95歳まじかのお年だったこと、戦後教員運動(日教組運動など)でご活躍されましたこと、国分一太郎「研究会」の直前にご子息に伝えられた励ましのお言葉――等々を、読み返しながら、涙を抑えることができませんでした。
 ですが、一人の女性として、榎本先生のお母上として、凛とした生涯を送られました。
 やはり、大往生という言葉が、最も適切な「お別れの言葉」では、と思います。
 残暑というより、猛暑のつづく夏。
お母上を亡くされた喪失感の大きさを思い、
榎本先生の御身を案じております。
くれぐれもご自愛くださいますように。
玉田勝郎  2015・8・16

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