子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

8月20日(火) 研究会の記念講演

8月20日(火) 研究会の記念講演

神野直彦さんの記念講演2019年11月17日(日)

 第13回国分一太郎「教育」と文学」実践報告会に、一度は、来てほしいと、前から考えていた。何回か依頼したが、日程の調整があわず、実現しないでいた。彼は、私の小中学校時代の同級生である。私が現職で、墨田教組の教文部長でいたときに、教研集会の記念講演をお願いした。講演が始まる前に、私にお土産を持ってきてくれた。それは、「人間回復の経済学」(岩波新書)を10冊ほど、渡してくれた。そのときは、東京大学の経済学部長をされていたときで、忙しい中来てくださり、終わった後の2次会にも付き合ってくれて、一杯飲み屋にも参加してくれた。彼は、車で来たので、酒は一滴も飲まずに我々に付き合ってくれた。その後、彼の車で、我が家まで送っていただいた覚えがある。
 また、私が定年最後の年に、区教研「社会科」の研究授業を行った。6年生の「憲法学習」のグループ発表の授業の講師に来ていただいた。たくさんの墨田区の先生方が見えていた。

現在の職歴

 2009年3月 東京大学を定年退職 2017年4月 日本社会事業大学学長に就任と言うのが、彼の現在の履歴になる。

新自由主義を真っ向から批判

「人間回復の経済学」は、今は当たり前になっている、新自由主義を真っ向から批判している本である。
 彼の講演の記録を、YouTubeなどで拝見すると、今や世界中に広がりつつある「格差社会」は、1973年9月11日チリの大統領サルバドール・アジェンデが暗殺されて、始まる。1980年代に入って政府における財政赤字の深刻な累積、官僚主義的な非能率などが大きな問題となり、イギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権を皮切りに、減税、規制緩和、民営化を軸とする小さな政府への改革が広まった。
 日本では、1982年の中曽根康弘政権で色濃く出る。小泉純一郎政権の郵政民営化によって、貯蓄世界一の日本の金が投資優先の民営化の銀行や証券会社に流れていった。
 同時に「派遣法」が成立し、多くの人々が、正社員でなく、派遣社員にさせられていった。今や、年収200万以下が、2000万人に達しようとしている。その延長線上に、安倍晋三政権が長らく居座っている。

安倍政権が強行採決した法律

 特に、安倍政権が強行成立させた法律が、たくさんある。その中で、1番が「教育基本法」の改悪である。さらに「安保法案」の集団的自衛権を強引に入れたことだ。そして、治安維持法の「共謀罪」が同じように成立した。その間に、森友・加計問題でのうその連発。「私や妻が関係していたということになれば、 まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる。」とまで言ったのに、いまだに総理の座にいる。その間に、財務省の森友学園をめぐる決裁文書が書き換えられた。関わった、財務省の役人が、自殺している。

彼の本を読むなら

 彼の、次の4つの著書を推薦する。「人間回復の経済学」(岩波新書)「『分かち合い』の経済学」(岩波新書)「教育再生の条件」(岩波書店)「経済学は悲しみを分かち合うために」(岩波書店)特に、最後の4番目の本は、昨年出版されたもので、最後の集大成された本に思えた。これらの本は、出版されるたんびに、私のところに贈呈してくれる。「教育再生の条件」(岩波書店)の最後のあとがきのところに、私の授業を見に来てくれたことと、私の名前まで紹介してくださった。
 彼の考えとまったく違った方向に、日本の教育がいこうとしている。おしまいに、彼が書いた文の一節を紹介する。
「小泉政権は、『改革なくして成長なし』をキャッチフレーズにしていたが、その真意は『失業と飢餓の恐怖なくして成長なし』というものである。『改革なくして成長なし』とは、『貧困なくして成長なし』と言い換えても良いのである。新自由主義の傭兵たちは、「改革を止めるのか」とたちまち牙を剥く。それは「失業と飢餓の恐怖」を創り出さなければ、より豊かな富を手にすることができないと信仰しているからである。」
「分かち合いの」経済学(岩波新書)より。

講演会の記録

 なお、神野さんお考えをさらにくわしく知りたい方は、「講演会の記録」を開き、神野直彦を検索すると、今から8年前に彼が日教組の教研集会の記念講演をしたときに、私も茨城県の水戸市まで出かけて録音し、そのテープ起こしをした記録である。大変感動的に語ってくれた講演であった。

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